私はこんなこと考えながらプレイしてますよ、っていう気持ち悪い例。


「来たか…待ちくたびれたぜ。その様子だとリベンジの準備は万端らしいな」

私は彼に、ここで何度負けたかわからない。数えられないくらい、負けた。
すごい大差をつけられたこともあるし、本当に鼻差だったこともある。
私が何度妙義に行ってもバトルに応じてくれるのは、同じGT-R乗りだからだろうか。
正直、私では勝てない相手だと一度は諦めた。だけど、私は彼が、彼の車が好きだった。
一緒に走れることは勿論嬉しい。後ろに居られるのも勿論、嬉しかった。
だけど、たった一度でいい、彼に勝ちたい―それだけ思って今日まで走ってきた。

スタート地点でアクセルを吹かしてみる。愛車の機嫌は悪くない。
冷えたタイヤを温めるように、一本目は様子を見ようと思った。
二本目で、抜きにかかるポイントを見定めるために。
そうだ。私は最初から勝ちを捨てていた。

先行逃げ切りの勝負は出来ないだろう―
いつもみたいに彼が先行、私はそのまま彼を抜けずに終わるんだ。
だけど私の愛車は予想に反し、スタート直後すんなりと頭を取った。
妙義のコースは完璧に覚えているわけじゃない。
相当数走り込んでいる地元で―しかも最速のBNR32が相手だなんて、
どう考えたって私の不利に決まってる。

考えながらもセオリー通りのブレーキングでコーナーへ突っ込んだ。
私の愛車―BNR34―はその重さを感じさせず、軽々と曲がってみせる。
黒のR32が後ろに張り付いているのがわかる。いつ抜かれるかわからない―怖い。
何がこんなに不安にさせるんだろう。
今日はいつもより乗れている筈だ。アンダーも殆ど出していない。それなのに―

「よっしゃあ！」

あっさりと抜かれた。闇の中にR32のテールランプが溶けていく。
私は彼を必死で追った。待って。私を置いて行かないで―
もう３連ヘアピンが近い。バトルが終わってしまう。
ちらほらと点在するギャラリーが目に付いた。
まだ、終わりたくない。終わらせたくない。

私は誰よりも、一緒に闘ってきた愛車を信じている。

３連ヘアピンの一つ目に飛び込むと、一気に彼が近付いた。
D1で見たパラレルドリフトに似ている―だけど彼はドリフト嫌いだということを思い出す。
そこからは夢中で、残りのコーナーへインから飛び込む。
ここを抜けてしまえばもうブレーキは必要ない―
ゴールへの最後のストレート、私は躊躇うことなくアクセルを踏み込んだ。


「負けた…俺とGT-Rがバトルで負けた…？」
うなだれる彼に、どう声を掛けたらいいのかわからなかった。
彼はキッと私を睨み言い放つ。
「この借りはすぐに返してやる。いいか、その時まで待ってろよ!!
　お前を仕留めるのはこの俺―ナイトキッズの中里毅だ!!」

ほんの少しだけ死んでもいいと思ったのは彼には内緒だ。



いやいや読み返すとホントに気持ち悪いな！
本職（？）は夢書きなので、どうしても妄想してしまう。悪い癖だ。
だが後悔はしていない。
それどころか、アケステをテーマに夢を繰り広げようかと企んでいる。
短い人生、好きなことしなきゃ損だぜ。